アラサーから始める楽しい読書

読書習慣のないアラサー無教養男性の読書メモ。「1週間に1冊本を読む」を1年間の目標としています。僕の読んだ本(漫画を含む)の感想やその他雑記ブログです。

「嫌われる勇気」の評価(レビュー)・感想

岸見一郎・古賀史健「嫌われる勇気」の評価・感想です。読書習慣の無い28歳男性がアドラーの教えを学んでどのように感じたか、また、どんな影響を受けたかが気になる方は参考にしてみてください。

「嫌われる勇気」の評価

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

自分が変われば世界が変わる事を理解できる

岸見一郎・古賀史健の「嫌われる勇気」は、周りの目が気になって仕方ない人にぜひ読んで欲しい一冊です。「嫌われる勇気」は、偏屈でコンプレックスの塊とも言える青年が、アドラー心理学を学び教える哲人を論破しようとする中で、嫌われる勇気を持つことで自由になり、幸福を追求することができると諭される話。自分と青年を重ねて「嫌われる勇気」を読むことで、他者の目を気にしながら生きることの不自由さを学び、あなたも自分の世界を変えることができるかもしれません。

 対話形式で読みやすい

「嫌われる勇気」は約300ページの本ですが、青年と哲人の対話形式で、読書中に我々が突っ込みたくなる点を青年がハイテンションで突っ込んでくれます。読書習慣の無い私でも5時間程度で1冊読み終えました。 

「嫌われる勇気」の感想

「トラウマ」は存在しない

「嫌われる勇気」では「トラウマは存在しない」と、アドラー心理学ではトラウマ(原因論)を明確に否定することから始まります。引きこもっている友人の例を用いると、彼は"何かトラウマがあり外に出る事が困難になった"という原因論を否定し、彼は"外に出たく無い事を正当化しようとトラウマを使う"という目的論で語るのです。

2013年の「嫌われる勇気」発刊から、アドラー心理学をネタにしたコメントなどを見る機会が増えましたが、今でも私の周りには「過去」が原因で「今」を全力で生きる事ができないと嘆く友人が少なからずいます。

「受験に失敗したから就職がうまくいかずにくすぶっている」 「過去にひどい浮気をされて異性を信じて付き合えない」「一度殴られた経験から親を信用しなくなった」

そのような因果関係を用いた悲観的な生き方をしている方は、自ら不幸になる選択をしている。不幸になりたいから過去の出来事を持ち出している。そして、悲観的な世界の見方をしている自分を「変えない事」すら自ら選択している。

人はたとえ不幸であっても、今のままの自分であれば、これから起こることに対する対処方法を知っている。しかし、幸せになるために自分を変えると、何が起こるかわからない。幸せになるためには自分を変える必要があるのに。幸せになるには「幸せになるための勇気」が必要。

私は今現在、不幸であったり悲観的に考える事が多く無いため、関係の無い話かと思いきや、因果論を使うことは多々あり、例えば

「今、私が仕事もプライベートも充溢しているのは、過去の成功体験からきている」

という事も、おそらくアドラー心理学は否定するのでしょう。私が"今"幸福感を感じているのは「成功したとアピールしたいから過去の体験を用いている」と。

人生は他者との競争では無い

私は「嫌われる勇気」で登場する青年と同様にコンプレックスの塊です。常に他者と自身を比較して優位に立つ事を生きがいにしていました。コンプレックスの塊であるがゆえに、良い大学を出て、労働条件の良い職場につとめ、友人も多く、素晴らしい女性と付き合う事で、自身の価値を高めることに執着しています。そして、インスタグラムやツイッターフェイスブックで同年代の他人と比較した時に単価の高い食事や、海外旅行の写真をアップロードすることで承認欲求を満たす薄汚い人間であると自覚しています。

そのような優越感は、日々感じている「劣等感」からくるもので、そのライフスタイルを選択している人間は幸せでは無いと、アドラー心理学では明確に否定しているのです。

対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れる事ができない。

「嫌われる勇気」P95から引用した一文です。周囲の人間を敵としてではなく、味方としてみること。優越性の追求は、他者との比較ではなく、自分の目指す自分との比較で行う事が肝要であると。

他者と比較して優秀である事を目指し続けていた私は、その生活が真の幸福に届かない事を実感していたため、「嫌われる勇気」のこのフレーズは得心です。そのため、「嫌われる勇気」を読んだ後すぐにSNS全般をアンインストールしました。

自分が変われば世界は変わる

最後に「嫌われる勇気」では自分が変われば世界は変わる。それほどに「わたし」の力は大きい。と語ります。これは日頃から私が考える「自分が変われば世界は変わる」とは異なる考えでした。

実際、私自身も「自分が変われば世界は変わる」と、常に自身に言い聞かせて生きています。しかしその考えは、自己と他者が存在する世界で、他者は何かを強制される事を嫌うため、相性の悪い隣人が存在した場合、まず自分から歩み寄るといった考えでした。

そのため、実際には他者への介入であり、自己の課題と他者の課題を分離していなかったのです。

「嫌われる勇気」でいうところの「自分が変われば世界は変わる」とは、近眼だった者が初めてメガネをかけた時に世界が変わって見えるように、自身が「幸せになる勇気」を持って世界を見る事で、世界が変わって見えるという事。

私の自責思考的考えから、自己と他者の課題を分離し、自分の課題に集中することで、私も少し幸せに近づく事ができそうです。

まとめ

「嫌われる勇気」は、人生哲学のもっともコアな部分である「幸せ」について、知ると知らないとでは考えが大きく変わる智を与えてくれた本でした。今「幸せである」と感じているあなたも、「幸せでない」と感じるあなたも、アドラー心理学についてご存知なければ、一度「嫌われる勇気」を手にとってみてはいかがでしょうか。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え